個人開発で「稼げる」系記事の中身|本当に参考になる記事5選
AIを使って簡単に稼げている人を、Xやnoteで毎日見かける。
- 「AIで作ったアプリが月100万円」
- 「noteをAIで量産して月10万円」
- 「個人開発で会社員の給料を超えた」
「とうとう私も不労所得者か……」とワクワクしながら記事を読み漁った。 しかし、読んでいるうちにある疑問を持った。
具体的な数字がなくね?
「AIで作ったアプリや記事で月100万円」「副業で月30万円」——こういう数字は頻繁に出てくる。
ところが読み進めても、次のような情報がほとんど出てこない。
- 月間アクセス数
- 記事数
- コンバージョン率(見に来た人のうち、実際に買った人の割合)
- 商品単価
- 購入者数
- 継続率
- 開発期間
「AIで作ったアプリで月100万円」と書かれていても、ユーザーは何人なのか、何本作って当たったのか、広告費はいくらか、何か月かかったのかが書かれていない。つまり、再現性がないのである。
そこで「稼げる」系記事で有用な記事がないか調べた
調べると、こういった「稼げる系」記事は大きく3つのパターンがあることが分かった。参考になる順に紹介していく
有用度大:自分の実績を実直に書いてある記事
稼げる系の記事の中で最も目を通す価値があるのは、自分の実績を実直に書いてある記事だと筆者は考える。 こういった記事は読んだ瞬間のインパクトは弱いが、自分で同じことを試すことができ、試したときの指標となってくれるからだ。
- 「Zenn Books に500円の技術書を出して5冊売れた話」 15章・約12万文字の本を500円で出し、宣伝の連載記事は合計約2,000PV、本のページは400回超見られて、売れたのは5冊。1冊目から5冊目までの売れた日付まで書いてある。400回見られて5冊なら、コンバージョン率は1.25%以下。自分が本を出すときの目安として参考になる。
- 「ZennでGitの仕組みを解説した本を執筆した感想」 約7万文字の本を700円で出し、2月〜10月末の売上は4,170円。本そのものへのリンクもあり、何を作ってその金額だったのかを確かめられる。
- 「個人開発のスマホアプリをリリースして4年半経ったのでまとめてみる」 ペット管理アプリを中心に13本を出して、累計約2.2万ダウンロード。広告収入は月1,800〜2,000円、サブスク登録は65件で月約5,900円、サーバー代は多くても月1,000円程度。DAU(1日に使う人数)250〜270人という数字まで出ている。
- 「Chrome拡張機能を17本個人開発して運営する話」 17本を出して、総ユーザー数は350人以上。一番使われている拡張で120人ほど、少ないものは5〜10人。「作るより使ってもらうほうが難しい」という話が、拡張ごとのユーザー数つきで書いてある。
- 「累計130万DLの個人開発アプリをcloseするので具体的な数字を公開します」 顔文字アプリで累計130万ダウンロード、レビュー1.3万件・平均4.5。それでも閉じる理由として、広告SDKが古くなって配信が止まったこと、審査に通らなくなった機能があることを挙げている。成功した後にどう終わるかまで書かれた、珍しい記事だ(収益の細かい数字は有料部分)。
有用度中:成功者を紹介して終わる記事
次点で「◯◯さんは成功しました」で終わる記事。本人の実体験ではないため具体性にかけ、参考にならないことが多いが、成功例を知ることができ夢がある。
- 「個人開発の成功事例15選 — 収益化の共通点を徹底分析」 Skebの「10億円売却」、Peingの「日800万PV」など15の事例を並べているが、公式サイトや本人インタビューへのリンクがほぼ無い。
- 「個人開発者のアプリ月収100万・200万円事例15選」 「年間収益は300万ドルを超えています」(Pieter Levels氏)、「月間数百万円の収益を達成」(日本の個人開発者)と事例が続く。ところがページから外部へ出るリンクはアフィリエイトの1本だけで、事例の出どころにはどれもたどれない。
- 「個人のアプリ開発で儲かる現実的な方法と成功事例を徹底解説」 「リリース2日で3万以上のユーザー登録」「3ヶ月で400万円の売上」といった事例や、Flappy Birdの「一日数万ドルの広告収入」を紹介している。ページ内に外部サイトへのリンクは1本も無い。
本当に知りたいのは、なぜ成功したのか、競合は何人いたのか、成功する確率はどの程度かのほうだ。成功者が1人いることと、自分が成功できることは全く別の問題である。
有用度なし:数字が大きいが根拠の提示がない記事
悲しいが、稼げる系の記事の大半はここに分類される。 こうした記事には、次のような傾向がある。
- 引用元が存在しない
- 元記事が削除済み
- 不必要な煽り文
- 海外記事の孫引き
- AIが生成したような文章
では、なぜこういう書き方になるのか。考えられるのは次の3つだ。
- クリックされるため:「失敗しました」より「1人で月300万円」のほうが圧倒的にクリックされる。広告で稼ぐサイトが、読まれた回数をそのまま売上にしているケース。
- 自分の商品を売るため:記事の最後に有料note・オンラインサロン・スクールの申込を配置し、誘導するケース。
- 承認欲求のため:承認欲求を満たすため実態よりも誇張して書いているケース。
一応具体例を載せておく。
- 「プログラミング知識ゼロで生成AIでアプリを開発し不労所得年間30万ドル(約4,700万円)を得た具体的な方法」 「特別な才能や莫大な資金があったからできた話ではありません」と背中を押してくる。ところが年間30万ドルの根拠として示されているのは、記事末尾の出典欄にあるYouTube動画1本だけ。一方で、ページ内には「30日間無料!」が5回出てくる。
- 「【noteで稼ぐって?】AI(ChatGPT)を活用して、月30万稼ぐ仕組み」 「一般人でも、特別なスキルがなくても、noteで月30万円を安定して稼ぐことは十分に可能です」「個人が資本主義のラットレースから抜け出すための最強のハック」と言い切る。著者は4ヶ月で月50万円まで伸びたと書くが、無料部分に売上の画面や内訳は見当たらない。記事の中では、自分の「神講座」(5,980円)を紹介している。
- 「【月収450万円】Chrome拡張機能を一人で開発!」 YouTube動画をAIで要約したページ。要約元の動画では「月に2万ドル、日本円で約300万円くらい」と言っているのに、タイトルは450万円。見出しの金額が、中身より150万円大きい。
- 「マイクロSaaSで稼ぐ実践ガイド2026年版」 「国内でも、特定業界向けの顧客管理SaaSがMRR 300万円を超えて1人で運営している事例が報告されています」とある。1人で月300万円という一番知りたい話なのに、業界名もサービス名も、誰がどこで報告したのかも書かれていない。
結論
個人開発で「稼げる」系の記事を読み漁ると、中身は3つに分かれた。
- 有用度大:売れた冊数やダウンロード数まで、実績を実直に書いている記事
- 有用度中:成功者を紹介するだけで、なぜ成功したのかを確かめられない記事
- 有用度なし:「1人で月300万円」のような読者を惹きつける大きな数字を並べるが、根拠を示さない記事
個人開発で本当に稼げるのかを知りたいなら、まず有用度大で紹介したような個人が体験したことをまとめている記事を読むことをお勧めする。500円の本が5冊、4年半続けたアプリで月1万円に届かない——派手さは無いが、自分が作ったときにどうなるかを一番正直に教えてくれるのは、こういう記事だ。
実際に市場を数えた結果は、個人開発は今から稼げるのか、11市場を実測したと、マーケットプレイス5つのAPIで数えた記事にまとめている。