【失敗談】アドセンスが通らずAdsterraを使ったら詐欺広告が出た

投稿日: 2026年7月15日(2026年10月5日更新)

別のブラウザで自分のWebアプリ「PoseMirror」を開いた瞬間、画面が一瞬どこかへ飛び、「ウイルスに感染しました。あなたのWindowsは10分後に削除されます」という真っ赤な警告が出た。McAfeeやGoogleを騙る、いわゆるサポート詐欺の画面だ。ヒヤッとしたが、本当に問題だったのはそこではない。その詐欺ページへ飛ばしていたのは、ほかでもない自分がサイトに貼った広告だった。

2026年7月14日の出来事です。AdSense がなかなか通らず、ほかの表示型広告を探した末に、低単価の広告ネットワークで詐欺広告(マルバタイジング)を自分のユーザーに配信してしまいました。この記事は、その一部始終と、個人開発で広告を出すならどれを使うべきかを考え直した記録です。

発端:AdSenseが「有用性の低いコンテンツ」で通らない

収益化の第一候補はもちろんGoogle AdSenseだった。ところが審査に出すと、返ってきたのは不承認。理由は定番の「有用性の低いコンテンツ(サイトが最小要件を満たしていない)」。

これはコンテンツの質や量が足りない、という Google 側の判断で、広告の貼り方を変えても直らない種類の指摘です。本来はブログ記事を増やして再申請するのが王道。でも当時の自分は「今すぐ何か表示して、少しでも回したい」という気持ちが先に立ってしまった。この焦りが、後の事故の入り口になります。

なお、なぜ個人開発でAdSense前提の技術選定になるのかは、別記事の広告収入が運用費を上回るWebアプリの技術選定にまとめています。

そもそもWeb広告には2種類ある

遠回りに見えて、ここの理解が事故の防止にいちばん効きます。Web広告はざっくり2タイプ。

成果報酬型(アフィリエイト/CPA)は、ユーザーがリンク経由で商品を購入・申込して初めて報酬が発生するタイプ。表示だけでは1円にもならない代わりに、1件あたりの単価は大きい。代表格は A8.net、もしもアフィリエイト、バリューコマースなど。広告主が事前に決まっていて、自分でどの商品を貼るか選べるのが特徴です。

表示型(ディスプレイ/CPM・CPC)は、広告が表示された回数やクリックで報酬が発生するタイプ。何を出すかは基本ネットワーク任せ。代表格が Google AdSense です。AdSense 以外だと、Adsterra、Monetag(旧 PropellerAds)といった海外系のネットワークがあります。

この「表示型は何が出るか自分で選べない」という一点が、今回の落とし穴でした。

AdSense以外の表示型を探して、Adsterraに手を出した

AdSenseが通らない以上、表示型で残る選択肢は審査のゆるい海外ネットワークになります。調べて出てきたのがAdsterra。審査がほぼ無く、サイトを登録して数分で使える。低流入の個人サイトでも弾かれない。焦っていた自分には魅力的に見えました。

一応、使い勝手を壊すポップアンダーやソーシャルバーは選ばず、バナーだけに絞って設置した。「バナーなら安全だろう」と。ここが甘かった。

事件:本番で詐欺広告が配信された

デプロイ後、ローカルや手元のBrave(広告ブロックが効く)では枠が空に見えていた。「まだ配信が始まってないのかな」くらいに思っていた。ところが、広告ブロックの無い Edge で開いた瞬間、冒頭のサポート詐欺画面へ飛ばされた。

「ウイルスに感染しました。あなたのWindowsは10分後に削除されます」と表示される偽のセキュリティ警告(サポート詐欺)画面の再現イメージ

▲ 実際に飛ばされた詐欺(サポート詐欺)画面の再現イメージ。カウントダウンで「今すぐスキャン」を押させ、偽ソフトの購入や個人情報入力へ誘導する典型例です。※実在のロゴ・URLは含みません。

決定的だったのは、リダイレクト先の URL に、自分の広告の識別子がそのまま埋まっていたことです。ざっくり示すとこんな形でした(危険なので実ドメインとフルIDは伏せています)。

https://xxxxxxxx.xxxxxxxx.co.in/click.php?key=xxxx
    &PLACEMENT_ID=302xxxxx   ← 自分が作った300x250バナーのユニットID
    &ZONE_ID=59xxxxx         ← 自分のサイトのゾーンID
    &CAMPAIGN_ID=xxxxxxx&COST_CPC=0.0101 ...

ZONE_ID も PLACEMENT_ID も、自分がAdsterraで発行した値そのもの。バナーとして登録した枠が、詐欺サイトへの自動リダイレクト(マルバタイジング)を配信していたことになります。フォーマットをバナーに絞っても、配信される中身の安全性は担保されなかったわけです。

低単価ネットワークではこの手の悪質な広告(自動リダイレクト、偽ウイルス警告、偽Google/McAfeeアラート)が紛れ込む事例が知られています。「審査がゆるい=広告主の質もゆるい」の裏返しでした。

詐欺広告を出すと、何が起きるのか

詐欺やマルウェアの広告を配信したサイトには、重い代償がありえます。

まず、Google Safe Browsing に危険なサイトとして登録されるおそれがあります。そうなると、Chrome や Safari で自分のサイトを開こうとしたときに「危険なサイト」の全画面の警告が出て、検索結果にも警告が付きます。訪問者はほとんど来なくなるでしょう。自分のサイトが安全かはSafe Browsing サイト ステータスで確認できます。

AdSense に再申請するときも、マルウェアを配信したことのあるサイトは不利になると考えるのが自然です。そして何より、便利だと思って使ってくれた人を詐欺に晒したことで、信用を失います。個人開発は信頼が資本なので、これがいちばん痛い。

少しの表示収益を得ようとして、AdSense 本来の道(コンテンツを増やして再申請する)を、自分で塞ぎかけていたわけです。

どう対処したか

気づいてからは速攻でした。

  • サイトの HTML から Adsterra のタグをすべて削除し、空いた枠は A8 のアフィリエイトに差し替えて、すぐ再デプロイした
  • 本番を再確認し、詐欺ドメインへのリクエストがゼロになったことを計測で確認。
  • 念のためAdsterra管理画面でも当該サイトを停止(Hidden)に。

タグをサイトから消した時点で、広告は配信できなくなります。最優先は、発生源をサイトから消して再デプロイすることで、管理画面での停止は後からで十分でした。広告を入れたのも撤去したのも、同じ7月14日のうちです。

ブラウザ操作の自動化は普段から仕込んでいたので対応が速かった、というのはあります(その仕組みはログイン済みブラウザで雑務を自動化に書いています)。

結論:個人開発で広告を出すならA8とAdSenseにしよう

遠回りして出た結論は単純でした。個人開発で Web 広告を出すなら、A8(成果報酬)と AdSense(表示型)の2つに絞る。

理由は、どちらにも広告の審査があることです。A8 は広告主ごとに提携の審査があり、貼る商品は自分で選べます。AdSense は Google が広告の質を管理しています。審査がゆるくてすぐ使えるネットワークは、その手軽さと引き換えに、広告の質の管理が弱いと考えたほうがよさそうです。

表示型で安全に稼ぎたいなら、近道はありません。コンテンツを増やして AdSense の審査を通し、それまでは関連する商品を A8 で手貼りしておく。地味ですが、これが安全な道でした。

その後

Adsterra を撤去したあとも、AdSense は通っていません。2026年8月時点で7回不承認になり、理由はすべて「有用性の低いコンテンツ」でした。審査に向けて、PoseMirror と記事に貼っていた A8 の広告も今は外し、記事の改善を続けています。

まとめ

「少しでも収益を」と焦って審査のゆるい広告網に手を出した結果、自分のユーザーを詐欺サイトへ飛ばしかけた。これが今回の顛末です。表示型広告は中身を自分で選べない。だからこそ、広告の質を管理してくれるAdSenseと、商品を自分で選べるA8に絞るのが安全でした。

アドセンスが通らないから別の表示型を試そう、と考えているなら、いったん立ち止まってください。その手軽さは、サイトの信用と引き換えかもしれません。

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